NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。
第17週、スズ子は愛助(水上恒司)の母であり、村山興業の社長・トミ(小雪)から結婚の条件として歌手をやめるよう言われてしまう。スズ子の生き甲斐ともいえる歌、そして愛助。どちらかを選べという苦渋の選択を迫られる中、羽鳥善一(草彅剛)はスズ子が歌手をやめることを「絶対あかん」と猛反対するのだった。
スズ子の置かれた状況を知るなり、「何言ってんの? ダメだよ、ダメダメ!」と早口でまくしたてる善一。もともと個性の強いキャラクターだが、制作統括の福岡利武は「撮影が進むにつれて、ますます解き放たれていく感じがしています」と草彅剛の様子を語り、「『善一は音楽に向かってまっすぐなんだ』という感情を前に押し出しつつ、ユーモアも交えた素敵なお芝居だと思っています」と唯一無二の羽鳥善一像を絶賛する。
「草彅さんには、『ブギウギ』を誰よりも楽しんでいるんじゃないか、というくらいに楽しんでいただけているのかなと思います。やはりそれが羽鳥善一というキャラクターにとって大事だと、草彅さんは当然わかっていらっしゃるんです。自分自身がドラマを楽しむことで、羽鳥善一が音楽を楽しむことができる。本当に素晴らしい表現だと思います」
そんな善一をなだめながら、スズ子に優しく寄り添うのが善一の妻・麻里(市川実和子)。福岡は「スズ子が戦っているのを見て、なんとかしてあげなきゃいけないと。これまで重ねてきた時間があるからこそ、麻里さんはそう感じたんだと思います」とし、「善一は“音楽・歌”というエンターテインメント1本の人で、その横で麻里さんがどんどん強くなっていくところが面白いなと思います」と羽鳥夫婦の魅力を語る。
「善一さんの家族については、今までにもしっかりと描いてきましたし、市川さんもすごく楽しんで演じていらっしゃいます。足立(紳)さんの脚本の特徴でもありますが、夫婦の掛け合いが絶妙ですよね」
また第78話で印象的だったのは、歌手の引退を迫られたスズ子が料理をしながら「ラッパと娘」を歌い、自然とリズムを刻んでしまうシーン。その意図について福岡は、演出・泉並敬眞の強いこだわりがあったことを明かす。
「第17週には、スズ子のステージがないことを泉並はすごく気にしていました。やはりスズ子と歌は切り離せないんじゃないか、と。スズ子の生活の中に音楽があるというところで、(視聴者の)気持ちが救われるといいましょうか。一方で歌をやめる、やめないと悩むスズ子にとっては、自分の気持ちを自然と疑い、自問自答する場面にもなっています」
音楽担当・服部隆之と音響デザイン・伊東俊平のタッグによって生み出された、生活音で奏でる「ラッパと娘」。実際には包丁で食材を切る際のまな板音のみならず、鍋の湯気の音、茶碗と箸が触れる音なども使用されているといい、「ここでは様々な生活音の重なることがポイントになってきますので、音響効果チームがいろいろなリズムを足して作り上げました。服部隆之さんも大絶賛です」と裏話を明かした。
同じく第78話では、羽鳥と愛助が初対面。互いに“スズ子愛”を爆発させるほほえましいやり取りを見せるも、直後に愛助の病が再発。幼い頃から大切にし続けてきた“歌”以上に愛助を想うスズ子にとって、試練の日々が続きそうだ。
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