■菊池風磨は“海軍特別年少兵”だった男性、東京大空襲を生き延びた女性のもとへ
菊池は、都内に住む鈴木忠典さん(現在93歳)を訪ねる。鈴木さんは海軍の活躍を伝える映画に憧れ、14歳で“海軍特別年少兵”に志願。主に激戦地・ソロモン諸島付近で、魚雷艇という20メートルにも満たない小型船で敵の軍艦に近づき魚雷を放つ、極めて危険な任務についた。
戦場では、相手を攻撃することしか考えられなくなり、同船する仲間が負傷しても、優しい言葉をかけられなかったと述懐する。菊池は「人の心を亡くしてしまう戦争の悲惨さが、鈴木忠典さんのお話からひしひしと伝わってきました」と語る。「戦争とはいったい何だったんだ」――鈴木さんの言葉に、菊池が感じたこととは…。
菊池はもうひとり、埼玉県に住む鈴木賀子(よりこ)さん(現在84歳)からも戦争体験を聞く。1945年3月10日の東京大空襲。7歳だった賀子さんは母を亡くし、4歳の弟とともに生き延びた。頼った親戚からたらい回しにされた2人が辿り着いたのが、上野駅の地下道だった。食べ物もなく、誰も助けてくれない状況の中、幼い2人はどのように過酷な地下道を生き抜いたのか。話を聞いた菊池は、賀子さんの、弟への深い愛情に胸を打たれたという。
■中間淳太は国内唯一の地上戦の地・沖縄へ 壮絶な状況を思い浮かべ涙
中間が訪ねたのは、国内唯一の地上戦の地となった沖縄。当時16歳の女学生だった武村豊(とよ)さん(現在93歳)は、故郷を守りたいという思いから学徒隊として従軍看護助手となった。当時、沖縄各地では壕とよばれる洞窟が野戦病院として使われたが、武村さんたちはそこで負傷して担ぎ込まれる人たちの世話をしていた。明かりもない狭い空間に折り重なるように運ばれてくる負傷兵たち。まだ16歳の少女にとって、手足がもがれたような負傷兵のケアは簡単なものではなかった。母と姉、そして女学校の仲間たちが犠牲となる中、生き残った武村さんは今も心の中で詫び続けていると打ち明ける。
武村さんに会いに行った中間は、慰霊碑に手を合わせるとともに野戦病院の跡地も訪問。今回のロケを「今後の人生において重要な時間となりました」と語った。人々が遭遇した壮絶な状況を想像し、思わず涙が頬を伝う。
■松村北斗が目撃する長崎 原爆投下から1ヶ月半ほどで再開した小学校の物語
そして、松村は長崎へ。自らが通っていた小学校にある祈念館で、原爆の語り部を勤めている池田松義さん(84歳)のもとを訪ねる。当時7歳だった池田さん。爆心地から70メートルほどの地点で被爆したが、奇跡的に助かった。全身血だらけで戻ってきた父は死亡。母も2週間後に突然亡くなった。母親を火葬するとき、池田さんは泣くことができなかったという。家族全員を失って、これからどう生きていくのか。悲しみよりも不安でいっぱいだったからだ。
そんなとき、安らぎの場となったのが再開した学校。爆心地からわずか500メートルほど。焼け野原となった街で残った、数少ない建物のひとつだった。原爆で約1500人の生徒のうち1400人あまりが亡くなったが、生き残った教師たちがわずか1ヶ月半ほどで授業を再開。そこに池田さんをはじめ、生き残った生徒たちが集まった。
家族を亡くした池田さんは「先生や友だちと会うことが何よりも安らぎだった」と当時を振り返る。そんな対話を経て、松村は「取材中に言葉にし切れなかった瞬間、その感情がすごくリアルで大切」と、実際に戦禍を体験した人々の声を届けることの大切さを実感する。
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■阿部亮平はジャニーさんが疎開した和歌山へ 壮絶な空襲経験に言葉を失う
阿部は、ジャニーさんも疎開していた和歌山へ。9歳で空襲の恐ろしさを体験した田中誠三さん(現在86歳)を訪ねる。1945年6月22日、空襲で自宅に爆弾が直撃。防空壕に逃げ込んだものの、母と2人の姉たちの命は奪われてしまった。その後、7月9日の和歌山大空襲では、市街地一帯を円で囲むように焼夷弾(しょういだん)が落下。避難場所となっていた旧県庁跡地の空き地ではすさまじい火災旋風が起き、逃げ場を失った700人以上の人が折り重なるように焼死した。実は、その2年ほど前から、米軍はどうすれば効率よく被害を与えられるか、投下実験を繰り返していたのだ。
ジャニーさんが自身の戦争体験を投影して作り上げた舞台『少年たち』シリーズにも出演したことがある、阿部。「どこか田中さんにジャニーさんを重ねてお話を聞いていたところもあったかもしれません」と語ったが、そんな田中さんの壮絶な体験談に言葉を失う。
戦後77年経った今もなお、ウクライナをはじめとした世界のさまざまな場所で紛争が起き、幼い子どもを含めた多くの人々が犠牲となり、日常を奪われている今だからこそ、過去の悲劇を知る必要があるのではないか。4人が実際に自身の目と耳で確かめた“77年前に起きたことの記録”とは。
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