太田出版は2021年8月4日、同社が発行する雑誌「Quick Japan(クイック・ジャパン)」次号の8月発売を取りやめることを発表した。同誌をめぐっては過去の号で、東京五輪開会式の元楽曲担当でミュージシャンの小山田圭吾氏が、学生時代の「いじめ告白」をしたインタビュー記事を掲載しており、批判を呼んでいた。
同社は「今後二度とこうしたことを繰り返さぬよう編集体制の見直しが必要」と判断し、発売休止を決めたとしている。
「編集部員それぞれが差別と社会問題に対する理解を深めてまいります」
「クイック・ジャパン」はサブカルチャーを幅広く扱っており、隔月で偶数月に発行している。最新号は6月発売の第156号。問題となった小山田氏インタビュー記事が掲載されたのは1995年8月の第3号で、障害のある同級生に対するいじめ経験を明かしていた。
同記事は小山田氏が五輪開会式の楽曲担当であることが明らかになった2021年7月中旬ごろに注目を集め、小山田氏が五輪に携わる人物として不適格ではないかと批判を呼んだ。小山田氏は7月19日、五輪楽曲担当を辞任している。
太田出版は同日、小山田氏のいじめ告白記事について謝罪文を公式サイトに発表している。「この記事が、表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを深くお詫びします」としたほか、「今回の反省は、継続的に今後の出版活動を顧みる機会とするべきと考えます。『Quick Japan』のみならず、弊社の出版活動全体を改めて再検討し、その都度振り返ることにより同じことを繰り返すことがないように努力してまいります」と今後についても言及していた。
こうした中で8月4日、同社は「Quick Japan 8月発売号 お休みのお知らせ」と題した文書を発表した。冒頭「2021年7月19日に太田出版ホームページに、"『Quick Japan 第3号』掲載の小山田圭吾氏記事についてのお詫び"を発表させていただきました」と前出の謝罪文に触れ、「Quick Japan編集部としましても、表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより、差別を助長し被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを改めて深くお詫び申し上げます」と改めて謝罪した。
その上で「編集部として今回の事態を真摯に受け止め、今後二度とこうしたことを繰り返さぬよう編集体制の見直しが必要と判断しまして、『Quick Japan vol.157』の8月の発売をお休みいたします」と次号の発売休止を伝えた。「この期間に、編集部としてのチェック体系の強化を行うとともに、編集部員それぞれが差別と社会問題に対する理解を深めてまいります。こうした対応を行いながら、今回のような問題が起こらないよう、編集部が日々の活動の中で不断に検討し、振り返りながら誌面を制作していく所存です」と体制見直しを図るという。
第157号の発売時期については「改めてお知らせいたします」としている。
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