世界三大映画祭のひとつカンヌ国際映画祭で、最高賞パルムドールを競う部門として最も注目が集まる「コンペティション部門」。同部門には毎年世界中の大御所監督たちが名を連ね、これまで是枝裕和、ケン・ローチ、ジム・ジャームッシュ、グザヴィエ・ドランなど世界の名だたる巨匠・名匠たちの作品が出品されてきた。2019年にはポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』がパルムドールに輝き、その後アカデミー賞も獲得するなど日本でも大きな話題となった。同部門の対象賞は、最高賞のパルムドール、グランプリ、監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞、審査員賞となる。
『ドライブ・マイ・カー』は、濱口監督にとって商業長編デビュー作『寝ても覚めても』(18年)に続き、2度目の同部門出品。加えてこれまで、『第71回ベルリン国際映画祭』で短編集『偶然と想像』(21年)が銀熊賞受賞。脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻』(20年)が『第77回ヴェネチア国際映画祭』銀獅子賞を受賞するなど、世界三大映画祭でその名を広め、大きな注目を集めている。
濱口竜介監督は、今回のコンペティション部門への正式出品について 「歴史あるこの映画祭で、多くの観客がこの映画と初めて出会うことを想像して湧き上がるような興奮を感じています」と、コメント。
また、主演の西島は「絶望の果てに人は再生出来るのか。撮影をしながら監督はずっと問い続けていたと思います。監督が人間について深く思考し愛情を注いだ『ドライブ・マイ・カー』のカンヌ映画祭コンペ部門選出を心からうれしく思います。濱口監督、おめでとうございます。たくさんの皆さんに観ていただけることを祈っております」と、祝福のことばを寄せた。
また、本作の上映時間が2時間59分であることも発表された。想像し得ないラストへと導く本作について「心に直接響く、感動的なこの作品を国際マーケットでシェアできることが待ちきれない!」と惚れ込み、海外セールスを担当するのは世界的セールスカンパニーのThe Match Factory。これまで、カウリスマキ、アピチャッポンなどの名匠を数多く手掛けてきた。さらには、グザヴィエ・ドラン、ダルデンヌ兄弟作品などを配給してきたDiaphanaによるフランス公開も決定。海外でも熱烈なファンが多い村上春樹作品を原作とした濱口監督最新作には既に海外からも熱い視線が向けられており、今年のカンヌの“台風の目”として期待が高まっている。
■コメント全文
●濱口竜介監督
先日完成を迎えた映画『ドライブ・マイ・カー』が、第74回カンヌ国際映画祭オフィシャルコンペティションに選出されました。歴史あるこの映画祭で、多くの観客がこの映画と初めて出会うことを想像して湧き上がるような興奮を感じています。
この映画に写った素晴らしい俳優たちの演技を、そこから世界に向けて示せることにワクワクします。この映画に携わったすべてのキャスト・スタッフ、そして原作者の村上春樹さんにこの場を借りて、心からの御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。未だコロナ禍の困難な状況下ではありますがカンヌの地を、ともにこの映画を作った仲間たちと踏むことができたらこの上なく幸せなことです。今は上映のその時を心待ちにするばかりです。
●西島秀俊
濱口監督は、恋人や友人同士の心の機微を厳しく、美しく描いてきました。今作品、村上春樹さん原作の映画『ドライブ・マイ・カー』では家族について、そしてより遠い人との関係について描いています。絶望の果てに人は再生出来るのか。撮影をしながら監督はずっと問い続けていたと思います。監督が人間について深く思考し愛情を注いだ『ドライブ・マイ・カー』のカンヌ映画祭コンペ部門選出を心から嬉しく思います。濱口監督、おめでとうございます。たくさんの皆さんに観ていただけることを祈っております。
●三浦透子
たくさんの方の目に触れる大きな機会をいただけたこと、本当にうれしく思います。心から尊敬できるスタッフ・キャストの皆さまと一緒に仕事ができて、本当に幸せな時間でした。改めて、『ドライブ・マイ・カー』という作品に参加させていただけたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。海の向こうの方々にどんな風に届くのか、今からとても楽しみです。
●岡田将生
こんな嬉しいニュースはありません。キャスト、スタッフは監督が作った脚本に真摯に取り組み、改めて映画の力を感じた気がします。海外のキャストとも映画祭の話をしていたので、まさかまさかで、この話を聞いたときは時間が止まってしまいました。僕自身この映画を見て心が震えました。この映画に参加できて幸せ者です。海外の方々にもこの映画の素晴らしさが伝わることを願っています。
●霧島れいか
この作品に出会い、参加できたことに心から感謝しています。私にとって宝物のような作品です。そしてこの素晴らしい知らせを受け、監督はじめキャスト、スタッフの皆様の顔を思い浮かべながら喜びで胸が熱くなりました。全員の心が真っ直ぐ込められたこの映画をたくさんの方々に観ていただけることが大変うれしく、こんなに幸せなことはありません。改めて濱口監督おめでとうございます。
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