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『コントが始まる』菅田将暉×有村架純の秀逸な反転劇 『はな恋』さえも壮大な前フリに? - リアルサウンド

 『コントが始まる』(日本テレビ系)は、コントから始まる。題名は「水のトラブル」。舞台にはラーメン屋の店員がふたり、そして水回りのトラブル専門の修理業者がひとり。なんでもラーメン屋の店員のうちのひとりが「触れた水をすべてメロンソーダに変えてしまう」という奇妙な身体状態に陥ってしまっており、慌てて業者を呼んだのだという。いや、そこは修理業者の出る幕ではないのでは、という疑問は一旦置いておこう。だってこれは“コント”なのだから。給仕する水はすべてメロンソーダになり、ラーメンのスープもメロンソーダになり、さらには名刺に書かれた水関連の漢字(池、海など)すらも彼が触れると「メロンソーダ」という文字に変わってしまう。

 そんな設定のコントが2、3分繰り広げられたのち、その映像を観ている中浜里穂子(有村架純)の生活へといきなり画面は切り替わった。先ほどのコントは“マクベス”というお笑いトリオによるものだと彼女は妹のつむぎ(古川琴音)に説明する。「どこがそんなに面白いの?」と聞かれ、「別に面白いと思ってないよ。ただ好きなだけ」と応える里穂子。

 そこからは、「里穂子がマクベスと出会い、好きになるまでの経緯」が順を追って描かれていく。働いているファミレスの開店3日目に彼ら3人が客としてやってきたこと。毎週決まった時間に来てはネタ合わせ、次第に家の近所でも見かけるようになり、しまいには住んでいる部屋の真隣のマンションで3人が共同生活をしていることが発覚。里穂子は彼らに対する興味がどんどん抑えられなくなっていき、しかしグループの名前を知らないがゆえにネタを見ることもできず。大手のお笑い事務所から順にプロフィール欄をしらみつぶしで調べていくと、ミュージシャンが多く在籍するホームページの片隅にようやく見つけた3人の姿。ディグり方がなんともリアルで信頼できるドラマだ。

「マクベス。マクベスって言うんだ」

 推しと出会った瞬間は、みな等しく心を乱されながらも呆然としてしまうものだ。しかしこの場面の里穂子はその感情が“号泣”にまで及んでいて、その背景に並々ならぬ事情があることがほのめかされている。

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